闇家(33)
柔らかい陽射しに包まれる午後、視界には雲一つない青空が広がっていた。
2羽のツバメがじゃれながら通りすぎていく…
桜井忍は学校の屋上で仰向けに寝転がっていた。
「(志穂のやつ…今どうしてんのかな…)」
ガチャ
という音がして、出入口に誰か現れた。
忍は一瞬ビクッとして体を起こしたが、そこにいるのが誰かわかると、
「何だ、初音か。」
「‘何だ’とはご挨拶ね。誰だと思ったの?」
そこには、長い黒髪に切れ長の瞳をした少女が、腕を組んで立っていた。
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