闇家(28)
恐怖はもちろんあった。が、ためらう時間は少しもない。
忍は全力で走りより、化け物めがけて大きく跳躍した―
「―これでもくらえ…っ」
ガスッ
忍の振り降ろした額縁が、みごと化け物の体にはまりこんだ。縄で縛られたような格好で、それは横倒れる。
忍は前に滑り込んで、投げ出された人形のように志穂の隣に到着した。
倒れた化け物は何とか立ち上がろうともがくが、どうやっても起き上がれない状態になっていた。
「はは…やったぜ。」
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