闇家(26)

「……!」
志穂は声にならない声で叫んでいた。

ボロボロの布をまとい、まるでゾンビだった。二人を見る、というよりむしろ志穂を凝視している。
目玉は落ちくぼんで、肌の色は紫に近い。白髪の髪は所々がごっそりと抜け落ちていた。加えて腐ったような悪臭がたちこめる。
忍は吐き気がした。しかし怖いモノ見たさからか、目を反らすことができない。
「ハー…ハァー…」

それは確実に志穂の方へ近づいていく。

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