闇家(21)


忍は今にも気を失いそうになっていた。どのくらい時間が経ったのか、それがとても長く感じられた。息苦しささえ忘れて、もう駄目だとあきらめかけた時、ふいに志穂の手が緩まった。途端に忍に倒れ掛かる。忍はむせながら一緒に倒れ込み、それでも慌てて志穂を抱き支えた。

「あれ?…ここどこ…?」
志穂は正気に戻っていた。
「忍!」
目が合った途端志穂に抱きつかれて、忍はしばらく呆然としていたが、
「…お前、大丈夫か?」
やっとそれだけ、喉の奥から声を捻りだした。

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