続・この恋の行方14
「ちょっとのぼせたかな。」
朱美は浴槽から出た。
「そうだ、露天風呂。」
朱美は歩いて行ってガラス戸を開けた。一人きりかと思ったが、露天風呂には老婆が一人浸かっていた。
無言でいようと思ったその時、
「こんにちは。」
と、声をかけられた。
「あ…こんにちは。」
「今日は何だか嫌な天気だねえ。」
空を見上げると、いつの間にか鉛色の雲が広がっている。
「何か…一波乱ありそうだわ。」
「はあ…。」
「…うん?ああ、別にあんたのことを言ったわけじゃないんだよ。」
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