この恋の行方9


「利昭…あれから半年経っちゃうね…」
私は利昭の手を握って、いつものように語りかけた。

「ねえ、もうすぐ体育祭だね、高校最後の…利昭、足早かったんだよね。私、いつも見てたんだよ」

「……」
枯れた果てたはずの涙が、また頬を伝い落ちた。あの時の光景が鮮明に蘇る。

「利昭…」



「…あけ…み」

「…利昭?」
「…朱美…」
「!!」
利昭はうわごとのようにつぶやき続けた。



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