この恋の行方3


「朱美!」

靴だけを履いて利昭の家を飛び出す。
上着も鞄も残したままで、後先なんて考えなかった。
ただ涙がとめどなく流れて、利昭への気持ちが胸を締め付けた。こんなに好きなのに、きっと私たちは分かり合えない。そんな根拠もないコトで感情は埋め尽くされて、ただ走り続けた。



ふいに息苦しさを覚えて、足を止めた。荒い息づかいが騒音みたいに駆け巡る。
「朱美っ!!」

利昭の声がすごく近くで聞こえた気がした。あんなに走ったのに、利昭は追いかけて来てくれていた…

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