予知夢
-35-
「一緒に来たんだ。お前を助ける間の囮になってもらった。すぐに合図をして引き上げる。」
そう言うと襲兄は笛を鳴らした。でも、その音は私には聞こえない。
「見ろ、こっちへ来る。俺たちも行くんだ。」
襲兄は私を促す。
その時だった。
ビルの屋上から、一斉に火花が上がった。
そして、晃兄目がけて何かが飛んでいく…

それは、竜がいた上空あたりで爆発した。
一面が煙で包まれ晃兄の姿は全く見えない…
「晃兄!!」
「うそでしょ!?晃兄!!」
私は思わずビルの方へ走りかけた。
「安曇!」
襲兄はすかさず私の手をつかむ。あまりの勢いに、足元がふらついた。
「しっかりしろ。とりあえず俺たちだけでも戻るんだ。」
「そんな…だって晃兄が!」
「大丈夫だあいつは…。とにかく行こう、安曇がまた捕まったら晃の犠牲は無駄になってしまう…」
「だけど…」
「安曇を非難させたら、俺が必ず確認に行く!…な?」
「……。…わかった…」


そうして私たちは、郊外の森へと移動した。


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