悪魔の鎮魂曲7
宗治はただ絶句していた。ついさっき起こった出来事がどんなに信じられなくても、それを討論する相手などどこにもいない。
「待ってるから」
少女の声が頭に響いている。宗治は決心して立ち上がった。どんなにばかばかしい行為だろうと、どうせここにはそれを見ているものなど存在しないのだから。…あの目玉が生きたものだとしたら別だが。
立ち上がってみると、宗治はまた気分が悪くなった。視線が高くなるとさらに遠くまで見渡せるようになったからだ。
「一歩踏み出すだけ…」
宗治は少女の言葉を繰り返した。そして、右足を前へ―
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