悪魔の鎮魂曲5
天使だ。
宗治にはそうとしか思えなかった。
純白のワンピース姿で突然現れたその人は、金髪と、それと同じくらい美しい金色の瞳をした少女だった。赤黒い空を背景に、少女の姿はくっきりと映し出された。少女の瞳は、すべてを包み込んでくれるような気にさせた。宗治はその瞳から目が離せない。いつのまにか、蒸し暑さも吐き気も消え失せていた。
「ここで何してるの?」
出し抜けに、彼女はそう聞いてきた。
「どうしてじっとしてるの?動けない?」
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