悪魔の鎮魂曲3
辺り一面に異様な臭いがたちこめていた。無数の池らしきものとその間のあぜ道以外には何もなく、赤黒い空間には風もない。宗治は蒸し暑さを覚えた。
さっきからずっと聞こえていたおかしな音は、池の水が沸騰するように泡を創っては消していく音だとわかった。しかしその中身を直視することは出来ない。池の水と呼ぶにはあまりにも純潔過ぎた。
目を開けてからずっと、宗治の視界の端には人間の目玉と思える白いものが浮き沈みしているし、肉塊の様なものもたくさん入っているようだ。そのせいだろう、池の中は明らかに血の色に染まっていた…。
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