悪魔の鎮魂曲11
風に木の葉が舞い、ブレザーにマフラーを巻きつけた姿の学生たちが帰路につく。それは放課後、冬も間近に迫った秋の風景だった。
宗治は、突然現実に戻ってきたように錯覚した。しかし、校門の奥に見える昇降口から歩いてくる「自分」の姿に、頭を殴られたような衝撃を受けた。悪魔はそこにいるのかいないのか、何も言葉を発しない。宗治は今見えるこの風景を、自分で整理するしかなかった。
「宗治っ、待って!」
「(あ…吹雪だ…)」
宗治は急に懐かしさでいっぱいになった。
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