Knight

―17―
シゲンが受けた傷を癒やすために、クレージュは部屋に来るとすぐに自分とシゲンの荷物を部屋の隅に置き、皮袋を手に帝都の中心部へと薬を買いに出かけた。
部屋に残された二人の荷物を整理しながら、シゲンは薄々と自らに課せられた使命を感じ始めていた。
「俺は何者なのだ…」
先の見えぬ不安感と、孤独感に染められたシゲンは、自らの剣に小さく語りかける…。しかし、その声はただ部屋に響くだけで答えてはくれなかった…。
その響きが部屋から消えかけた時、扉から誰かがノックをする音がシゲンの耳にとどいた。

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