暗躍の蝙蝠

―30―
彼は彼女を見下ろしながら話を続ける。
「アデリーヌ…スペリス…。二人とも本来はここにいてはいけない存在なんだ。たまたま俺が見付けたから良かったが、他の奴だったら罰だけでは済まされないぞ…。」
アルはアデリーヌの腕を引っ張り彼女を起こした。
彼女はまだ立つことが出来ず、しゃがみこんだまま彼を睨み付けた。「おいおい…もう俺はお前と戦う気は無いぞ…ってスペリスに説得させたほうがいいか…」
彼はそう言うと、一匹の動かぬ蝙蝠(こうもり)を床に置き、その上にスペリスを立たせた。


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