暗躍の蝙蝠

―20―
深夜。
街は不気味なほど静まり返っていた。
「アル様…」
スペリスは時間を気にしながら、待ち合わせの古い時計台の下で待っていた。
周りを見ても誰も居なく、時折急いで馬車を走らせ家路に行く姿があった。
彼の予想どおりアルは待ち合わせの時間どおりにはこない…。
やっぱりな…と、真上にある時計台の針をみあげた。
「スペリス!!」
真上を見上げた途端自分を呼ぶ声が聞こえる。ようやくアル様来た!スペリスはそんな思いで辺りを見回したが誰もいない。


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