Death
―96―二人はスペリスとアデルと別れ、まる1日掛けてようやくウォルランドに辿り着いた。
ウォルランドは赤国との戦争時、死神により破壊された痕跡が著しく残っているものの町人は市場やバザーで賑あっていた。
その風景は戦後とも思えないほどの賑やかなものだった。
そもそもウィルと呼ばれていた頃からこの国は多重民族国家で、常に新しい民族やら旅の人間が出入りし国を形成していた。
いわゆる旅人など母国を追われ行き場の失った人達が来る最終地点とも言える国家だった。
ウォルランドは国王が存在しない国民の手で作られた自由な国家だが、一方で実力主義の国家でもあった。
アマトと風はこの国に着くと宿を一番最初に探し泊まるところを確保し、情報収集に向かった。
二人が向かった先は情報屋と看板がぶら下げてある町の真ん中にある小さな小屋のような建物だった。
アマトはその情報屋の主人に自分のような力を…魔力を持つ人のことについて聞いた。
「あ…あ…ちょっと前に同じことを聞いた人間が来たなぁ…そうたしか二週間ぐらい前かなぁ…全身黒い服にで顔を隠した青国人」
「え!?っでオヤジ、どうなんだよ。知ってるのか知らないのか…」
「あ…あぁ…。ここの国がまだウィル国だった頃、炎の英雄に対抗する力を持つ者がいたが死神によって処刑されたらしいが、その力を受け継ぐ人間がこの国にいるらしい…。」
情報屋は自分の机の引き出しから町の地図を出し羽ぺンで赤く町の中央の大きな屋敷に丸印をかいた。
「ここは…?」
「もし、その力を受け継ぐ人間がいるのであればたぶん今この国を守り、領地拡大を考える斬神団の中の白狼軍のメンバーの誰かだと思うのだが…。」
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