Death
―92―
屋敷の中では待ちくたびれたようにアルが待っていた。
「ようこそ、我屋敷に・・・」
一応、客人として三人を迎え入れると、客室まで案内する。
屋敷の中は外とは異なり、ランプで照らされいたるところに金銀で飾られた骨董品が並べられていた。
「すごいね。なんか豪邸って感じで、こんなところに一度住んでみたいな。」
「そうか?俺の家の方がもっと凄いと思うけどな。」
「王子様は慣れてるからわからないんだよ。」
風はまたアマトとは違った構造を持つアルの屋敷に興味を示し、キョロキョロとあたりを見回しながらアルの後をついていった。
風たちはしばらく廊下を歩いていくと、目の前にパタパタと足音をさせながら小さな子供が走ってくる。
「アル様♪おかえり〜ようやく帰って来たね、どこいってたの?」
帰ってくるのを楽しみにしていた様子で、アルに抱っこを要求する。
「トレイン。いい子にしていたか?お客様だ、挨拶しなさい。」
アルはそう言って頭を撫でると、トレインと呼ばれた子供は三人に向かって挨拶した。
トレインはすぐに風と打ち解けあい、すぐさま仲良くなっていった。
しばらく話しながら、長い廊下を歩きつづけ客室と呼ばれる大広間まで足を運んだ。
そしてアルは入るなり、風とアマトに客室で待機するように指示し、死神とトレインの三人だけでまた別の部屋に向かった。
「死神行っちゃったね。」
「あぁ・・・」
「死神ってどんな性格なんだろう?」
「さぁ?」
なかなか会話にならないアマトはアマトなりに考え事をしていて風の会話に耳を傾け、適当に返事をするだけだった。
「風様、アマト様お茶が入りました、覚めないうちにどうぞ・・・。」
スペリスが目の前にティーカップに暖かなお茶を注ぐ、
「スペリスさんは死神のことしってるの?」
風は少しでも死神について知りたいっと感じ、スペリスに問い尋ねてみたが、
「知ってますが、死神に対しての質問には答えられません。」
っと断られてしまった。
「え?何で?」
まるで何かを隠すようにスペリスは黙ったままだった。
しばらくするとスペリスが見計らったように、壁にかけられていたカーテンをめくった。
「鏡?」
目の前に現れたのは豪華な飾りがついた大きな鏡だった。
「風様、アマト様。死神の方の準備が整ったようですので、こちらの鏡をご覧になっていてください。」
っと案内すると、鏡には何も映らなくなり部屋はランプを消したせいか真っ暗になった。
鏡はただ真っ白な光を放ったまま数分間何も起こらなかった。
風はしばらく何か起きるかワクワクしていたが、何も変化が無い鏡にいいかげん飽きてきたころ突然、五人の人影を映し出した。
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