Death
―91―「え!?馬車?」
ただ二人だけで帰るつもりだったスペリスはすぐにアルに聞きなおした。
「この三人も連れていくんだよ!!さっさっと早く準備しろよ。俺はここで待ってるから。」
彼はそう答えると再びがつがつとテーブルの上に並べてある食事を食べ始めた。
「………連れてく…………わかりました。すぐに用意いたします。」
スペリスは次の瞬間目の前から後も形も消えてしまった。
そして数分後……。
「お待たせいたしました。ご希望どおり馬車を連れてきました。」
スペリスは食べおわって一服しているアルに報告した。
「んじゃ…三人とも俺の屋敷に案内してやるからついてこいよ…」
カタンっと音を鳴らせて立ち上がり馬車へと一人さっさといってしまった。
「皆様も馬車にお乗り下さい。すぐに出発します。」
三人はスペリスの誘導に従い、馬車に乗り込んだ。
中はちょうど四人乗りで真ん中にテーブルが一つあり、窓は黒いレースのカーテンがひいてあった。
スペリスは馬のたずなを握りひっぱると四匹の黒馬が一斉に前進をはじめた。
上下に揺れる馬車は目的地である館まだ辿り着いた。
「暗いとこだな…」
アマトはボソッと小さな声で呟いた。
ここはもはや、普通の人間が住むドンムやムンドではなく別世界なのだから…。
三人はまったくそんなことを考えもせず屋敷の中へ入っていった。
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