カチカチ
数日後・・・。
「らっしゃい!!あぁこの間の」
「こんにちは・・・。たしか宇佐義君の友達の・・・」
「田抜ですよ。」
営業スマイルで田抜と名乗った少年は微笑んだ。
「今日は何がお買い得かしら?この前、鮭だったわね。結構塩が聞いていておいしかったわよ。」
ばあさんは頬に手を当てずらっと並べられた魚をジッとみていろいろ考えて、田抜に相談した。
「今日は秋刀魚がお買い得ですよ。秋にぴったりですし・・・。」
「そう?」
「えぇ。その綺麗な肌を保つには、やっぱ栄養豊か秋魚がいいですよ。」
彼は箱に入った秋刀魚をばぁさんに見せて微笑む。
「ま・・・綺麗な肌なんて、もう私はおばあさんですよ」
「いえいえ綺麗な肌してますよ。やわらかくて・・・」
「ホントにお上手ね。じゃあ今日は秋刀魚にしようかしら?」
「まいど!!」
結局、魚屋の陰謀により秋刀魚を買うことになった。
「はい・・・たしかに」
買い物袋がまた一つ増える・・・。
「大丈夫ですか?そんなたくさん重くないですか?」
田抜はかさばった買い物袋をひょいと持ち上げた。
「すみませんちょっと店番はずれます。」
「ん?いいがどこいくんだ?」
「この荷物を家に届けるんだよ。今例の無差別連続殺人がここらへんにいるって噂だし。」
「そうか・・・気を付けて行ってこいよ」
彼は親切にばぁさんの家まで買い物袋を届けた。
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