闇の歌

―18―
「楽になりたくないのか・・・。全てのものを失ってなぜまだ生きている・・・。おまえは元々は貴族だ・・・。なぜ裏切った貴族を放っておく・・・母親まで奪われたのだぞ・・・」

その声は僕の心に響いた。

その人物が言っていることは間違ってはいない・・・。もし出来るのならば、もうこんな生活から逃げだしたい。

僕はとにかく僕を誘惑する人物が誰なのか知りたかった。

「あなたは僕に何を求めているんだ・・・!!僕には力も知恵も無い・・・ましてやこの体はすでに病に侵されているのに・・・。」

力を出来るだけ振り絞って後ろを振り向いた。

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