shi−ki
〜薄紅〜
18

「……もしもし、板谷ですけど…どちら様ですか?」

 間違い電話かなんかなの?
 相手はまだ黙ったままで………。

────プッ

 唐突に、電話は切れた。

「……え…ちょっと、何で切るのよ…」

 受話器からは、ツーツーツーという音だけが伝わってきた。

「間違ったんなら、一言謝りなさいよね」

 多分、間違い電話だろう。それにしても、何も言わないなんて、気分悪いな。

 今の電話で、今日の疲れが一気に出てきた。
 もう寝よう。そう決めて、パジャマに着替えてると、

プルルル……

 また、電話のベル。

「もしもし、板谷ですけど」
[─────]

 さっきと同じ人?また、何も言わない。

「…もしもし!」

 間違えたなら、『間違えました』くらい言ってよ!

───プッ

 文句を言おうと息を吸い込んだところで、電話が切れる。
 なんなのよ、一体!
 ……そして、着替えが済んだ頃。

プルルル……

 3度目のベルが、聞こえてきた。


続く

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