PEACH CANDY

あの男の子が気になる。
ピーチキャンディーをくれたあの男の子が…。
明らか年下…だけどだけど…気になる…。

私はバイト中に前以上に外をチラチラ見るようになった。

そんな私の様子を見て感づいたのか、中野君は私をからかって言った。

「さゆ、年下好きなの?」

「なっ…!?」

「あの高校生のこと気になり始めてるだろ。」

「…別に。」

「なぁんだよ。隠すなって。」

「中野君には関係ないじゃないの!!もー!!」

「ハハッ。」

やっぱ年下好きになったらヤバイかなぁ…てか好きなのかどうかもハッキリわかんないけど…うー、あー…

とか何とか心の中で呻いてたら、あの男の子が来た。

気のせいだろうか、一瞬こっちを見て微笑んだような気がした。やはり私の鼓動は少し早くなった。

「いらっしゃいませ…。」

『あ…どうも。』

「今日は飴買わないの…?」

『まだ残ってて…あ、この間の食べましたか?』

「うん。おいしかった。ありがとう。」

『いえ…あの…あ…あの…』

「え?」

『こっ今度映画でも見に行きませんかっ!?』

えっ…えー!?デートのお誘い!?何で?どうして?もしかして脈あり!?

「…うん、行く。」

って答えちゃってる私って何…

『良かったぁ…断られるかと思った…。』

「断る理由なんて無いもん。」

『あ、じゃあ今週末とかどうですか?』

「うん、大丈夫。」

『時間とかまた後でお知らせしたいので、メアド教えてもらえますか?』

「わかった。」

って展開が急過ぎない!?何かあっという間にメアドゲットしちゃったんですけど!!

『じゃあまた。』

と言うと彼は去って行った。

中野君が横からスーッと来て私に言った。

「行くんだ行くんだ?」

「…うん。」

「名前も知らないのに?」

「………っ!!」

なっ名前聞いてないし!!中野君ってばもっと早く言ってよもー!!メールが後で来るからって、今更名前何?なんて聞けるわけないよ…。どうしよう…。

と顔面蒼白になっている私を見て中野君が

「芦屋聖。」

と人名と思しき名前を呟いた。

「あしやひじり…?」

「そう。」

「誰が…?」

「飴買ってく高校生。」

「え!?何で中野君が知ってるの!?」

「制服に名札ついてた。」

制服…制服…確かに名札ついてたかもしれない…うわぁ、私何にも意識してなかったや。寧ろ中野君の方がちゃんと彼のこと見てるし。

「中野君…」

「何ですかぁ?」

「ありがと…」

「いーえ、どういたしましてぇ。」

と笑顔で言われて頭を撫でられた。ちょっと悔しかった。


―continue―
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