"ADDICTED TO YOU"

―ADDICTED TO YOU〜LAST―

―――――

何度夢だと思い込もうとしたことか…



僕の意識は直ぐに戻ったが、僕はあまりのショックな出来事に少し記憶がなくなってしまった。思い出せないことがいくつかあった。だけどそんな自分の記憶障害に構ってる暇は無い。愛しい愛しい人の体がもう明後日には無くなってしまうんだから…。

そもそも何でゆうきが死んでしまったのかを僕は知らなかった。ゆうきの母親に聞いてしまえばまた振り返して話にならないだろうと考えた僕は、ゆうきの父親に詳細を聞くことにした。

僕が意識を失っている間にゆうきの父親も病院に来ていたらしい。僕が家まで行こうと玄関の方に向かったら、玄関近くの待合室に俯き加減で座っているのを見付けた。

「…幸か。」

「何でなの…?」

「え?」

「何でゆうきは死んだの…?」

「…友達の家に行った帰りに…通り魔に刺されたんだ…。」

「通り魔…?」

「ああ。近くに居た人が取り押さえてくれたから犯人は捕まったんだが、ゆうきは助からなかった…。」

「そっか…」



通り魔…

その言葉を聞いても僕は、確かな実感が得られないばかりか、怒りを覚えたわけでもない。犯人を恨んで絶対殺してやるだとかも思わなかった。ただゆうきがこの世にいなくなってしまったことが何より大きく、犯人どうのなんてことはどうでも良かった。

ゆうきの父に話を聞いてから暫くして、ゆうきは家に運ばれた。

真っ白な顔をして、何も話さないゆうきをボーッと見ていたら母が僕に話し掛けて来た。

「幸平、これを…」

母の手にあったのは以前、僕がゆうきにあげたネックレスだった。

「前にゆうきちゃんが言ってたの。これ、幸平に貰った物なの、すごく大切なのって。だから付けてあげて…。」

僕はネックレスを受け取ってゆうきにつけてやった。あの時みたいにゆうきは笑ってくれない。

「ゆうき…」

僕はまた悲しくなって涙を流した。



時間は少しも待ってくれない…

その日から二日後、ゆうきは灰になった。
その灰を少し分けてもらって、小さな小鬢にそれを移して、自分の机の上に置いた。

大きな大きなものを失ってしまった。

自信が無いとか言ってる場合じゃなかった。
こんなことになるなら18になったあの日、結婚していれば良かった…。
後悔したって、もうどうにもならない…。



-1年後-

僕は今も愛しき人のことを忘れられずにいる。

好きで好きでたまらない…

失ってから余計に愛おしさが増した。



会いたい…

会いたい…

会いたい…



断ち切れない思いを、僕はどうすることもできない…



逝こう…
狂いそうな程、愛しき人の所へ…


―THE END―
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