ある愛の告白―4

 抵抗することなく、ナイフは君に突き刺さる。
 血が飛び散ることすらほとんどなくなったその体に。
 頬にはいつのまにか涙が伝っていた。
 僕の問掛けに答えてくれることなどないとわかっていた。
 すでに冷たくなってきたその体に幾度となくナイフを突き立てる。
 目を開いたままの君がいる。
 表情など変わるはずのない君が。
 そこから離れることなど思いもつかなかった。
 君の体から流れ出た大量の血で血だまりができている。
 僕の手から離れたナイフが乾きだした血だまりに落ちる
 僕は血まみれの君の体を抱きよせる。
 まるで今も君が生きているかのようにやさしく。
 やがて僕は君をイスに座らせてこう言うんだ。

「ねぇ、君に聞いてもらいたいことがあるんだ」




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