パステルグリーンの色彩で―18
遊戯室があったのは、玄関を入って右側。応接間とは扉一つで行き来できるようになっていた。
有紀としては応接間のほうが興味があったのだが、佐織がうるさかったので後回しにした。
「うわっ!ゆきちゃんビリヤードだよビリヤード」
「みればわかるよ」
埃をかぶっているものの、元の色が緑なのはなんとか判別できる台。その上にボールの詰め込んだケース。壁には何本かのキューがたてかけられていた。
有紀は遊戯室に入った記憶がなかったが、てっきり囲碁や将棋が並んでいるせいだと思っていた。
確かに、ビリヤードだとしても、保育園に通うくらいの子供にはできそうにない。
「ゆきちゃんこれならできるよ。やろーやろー」
佐織はノー天気にはしゃぐが、それはちょっときついだろう。ボールを衝くたびに埃が舞ってしまいそうだ。「あれぇ、でもなんか変。ポケットがないよ」
佐織に言われて初めてそれに気がついた。とは言っても、有紀にとってはだからなんだという問題だ。
「ポケットビリヤード用の台じゃないみたいだな」
「えー、なにそれぇ」
「玉をいくつか使って、遊ぶんだけど。落とすんじゃなくて、当てることで点数になるんだ」
「えー、つまんな〜い。ゆきちゃんルール知ってるのぉ?」
「知るわけない。そういうのもあるってことしか知らない」
「ますますつまんな〜い」
続く
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