傷跡―14

正直あぶないと思った。遮蔽物はない。ドアを開けようとすれば、その瞬間が無防備になってしまう。
フレッドはいつのまにか拳銃を抜いていた。だが、身を隠そうとしているようには思えなかった。
目の前で殺されようとしているのを、黙ってみてるわけにはいかなかった。
俺は襲撃してきた奴に照準をあわせた。幸いにも、向こうは俺のことは視界にはいってなかった。
俺は撃てなかった。
その躊躇が手遅れになった。
銃声が聞こえた。フレッドが撃ったんだ。それとは逆に倒れたのはフレッドの方だった。襲撃してきた奴はそのまま逃げようとしていた。
俺は、足を狙って撃ったつもりだった。だが、走っていたせいで照準は狂って、背中に当たった。
俺はフレッドの方が気になって駆け寄った。撃たれていたのは左腕と右胸。急所は外れていたものの、出血がひどかった。
レスキューはすぐにきた。ついでにポリスも。レスキューは俺が呼んだが、ポリスは銃声を聞いた近くの住民が呼んだのだろう。
フレッドは病院につくまで、たえだえの息で俺に謝っていた。
襲撃してきた奴もついでに連れていかれた。唯一無事だった俺はさっきまで取り調べを受けてた。


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