財布の落とし主
3の3
川本と呼ばれた大柄な男は、振り返り声の主が誰かを見定めた上で、恐怖に立ちすくんでいた法子に飛び付き、無理矢理にその場に伏せさせると、自身もその場に伏せた。
法子の背中がアスファルトの道路に触れた瞬間、下腹に響く破裂音が二発続けざまに鳴り響く。
銃声である。
細身の男が身を翻して逃げ出した。その足の速さから、銃弾が男に命中しなかったことが分かる。
一瞬、大村は追いかける素振を見せたが、すぐに足を止めて拳銃を上着の内ポケットにしまい込んだ。
(3終了)
-続く-
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