闇家(19)
ふいに寒気がして忍は振り返った。志穂がうつむいて立っている。ただそれだけだ。しかし…何を思っているのか、志穂の口元にはうっすらと笑みが浮かんでいるではないか。
「志穂…?」
忍は志穂に近づいていった。志穂の腕に手を伸ばす。
「おい、志穂…」
一度ゆすってみるが、変化はない。
「志穂」
もう一度ゆすった。
「志穂!」
「がっ…!」
志穂の両手は確実に忍の喉笛を押さえていた。
忍はわけがわからず、ただ抵抗するしかなかった。手をどけようとするが、志穂はものすごい力で首を締め付ける。
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