予知夢
-51-「…襲兄は行かないの…?」
「悪いな安曇…まだやることがあるから」
そう言って頭を撫でると、
「今更戻れない。じじ様、みんなを頼みます。」
襲兄は一礼した。
「お前の事じゃ、この先の生き方は問うまい…。ただ一つ。必ずまたわしに会いにくるんじゃ、必ず…」
「…はい…」
「襲兄!!」
呼び止める声に振り向くことなく、襲兄は行ってしまった。
残された私たちは、じじ様に従って谷川の町へ戻る…
あんなに切望した帰郷なのに、何だか帰りたくないような…複雑な気持ちが、いつまでも消えなかった…
続く
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