暗躍の蝙蝠
―58―
「!!スペル!!」
すぐさま近寄ったのはアデルだった。
「スペル!!返事して!!」
その声は部屋に響くが、水晶の中のスペルはまったく動く気配は無かった。
「アデル・・・コレを装着しなければスペリスにはその声は届かない・・・」
アデルはすぐさまアルバにその機器を貰いすぐにスペリスに話し掛けた。
「スペル・・・スペル聞こえる?聞こえたら返事して・・・」
っと・・・。
「あ・・・アデリーヌ?でもアデリーヌは・・・」
「スペル!!私はここにいるよ。」
「!!アデリーヌその口調はアデリーヌなんだね。」
水晶の中のスペルがようやく反応し、立ち上がった。
スペリスが立ち上がったとたん、その水晶は無色透明に透き通ってしまった。
「どうしたの!!スペリス!!」
突然のことにアデルは戸惑った。
しかしアルバはすぐにその原因に気付き、スペリスが入ったケースを開いた。
スペリスは自らそのケースから手を出し、むくっと起き上がった。
水晶が透明になった理由それは、スペリスが目覚め機械として役に立たなくなったからだった。
「スペル!!」
アデルはスペリスにがっしり放さないように抱きついた。
?」
状況が飲み込めないスペリスは呆然としていた。
「スペル。わかる?私、アデリーヌよ。今はもう別人のようになってしまったけど。。。」
「アデリーヌ?君が?」
アルはスペリスが変異を起こしてからの状況を説明した。
それはアデリーヌにとってもスペルにとっても不思議なことで、これからの生き方を意味していた。
ここはもう自分達が住んでいたところではなく別世界だということ。
そして、これからアルの元で働くことになることを・・・。
しかしアデル、スペリスとして生きることによってこの二人は永遠に結ばれることとなった。
〜END〜
感想を書く
TOP