Death
―99―
「いや…実際入るのはそこの軍人にならないとはいれないけど…でも仲間と相談すれば何とかなるから!」
「今から作戦会議じゃ何にも役にたたないだろう。フウ、こんな奴信用しても無駄だぞ。こんなガキに何が出来る…」
アマトは不機嫌そうに荷物を整理し始めた。
「う〜ん…じゃぁ凄い力を持ってる人知らない?風とか水とかを思い通りに操れる人とか?」
風はあくまでもマイペースに話を進める。アマトは風の話に耳を傾けながらも自分はカヤの外のような態度を取っていた。
「それってもしかしたら斬神団の流水の女神のことか?」
「流水の女神…最近作られた童話の中の話ではないのか?」
アマトは動かしていた手を止めオンハに聞きなおした。
「…仕事をくれないんじゃなかったのか?」
少年は勝ち誇ったように態度を急変した。
「…わかった。報酬はやるからその話聞かせてくれないか?」
アマトは仕方がなくオンハが差し出した依頼書のようなものに自分のサインを書いて雑費に少しの量お金をオンハに渡した。
「まいど♪」
オンハはその書類と少しのお金を懐にしまいこんだ。
流水の女神。アマトが知っているその女神の童話は自分の姉サラがお薦めの本として最近読むように手渡された本だった。
異国の女戦士と敵国の軍師の物語。人々は女戦士のことを流水の女神とは呼び、町のシンボルとして女神をたたえられていた。
しかしその女神は敵国である軍師に恋をし、駈け落ちする物語。
「その題どおり斬神団には流水の女神って呼ばれる女の人がいたんだよ。」
「そ…その人はやはり今も斬神団にいるのか?」
オンハはアマトにそう尋ねられると困った表情を見せた。




続く
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