それの見る世界


-プロローグ-

人により作られた人ならざるそれは、ある意味で人よりも人らしかった。

それは人を憎んでいた。

人は、自らの罪である黒い感情を全て封じてしまった。

自らの欲望という"黒い感情"のために生み出した……それに。

だからそれは人を憎んだ。意味は分からない。いや、感情のみが与えられたそれに意味など関係ない。

ただ、憎むだけ。

その感情は、人のものだというのに、人は、それに、否定された。

存在を。

人は戸惑った。なぜ、"生みの親"である我々を……と。

人は自分が捨てた感情を理解できなかった。

だから……

滅んだ。


続く
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